水俣病とは
水俣病は、化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物に汚染された魚介類を日常的に摂取した住民の間に発生した中毒性の神経疾患です。熊本県水俣湾周辺を中心とする八代海沿岸で発生し、その後、新潟県阿賀野川流域においても発生が確認されました。
水俣湾周辺の水俣病については、昭和31年(1956)5月、初めて患者が報告され、その後、熊本大学医学部が中心となって原因究明、調査研究を行ってきました。
水俣病では魚介類に含まれていたメチル水銀は、消化管から吸収されました。摂取したメチル水銀の95-100%が吸収されたと考えられています。消化管では主としてシステインと結合して吸収されます。血中に取り込まれたメチル水銀-システイン抱合体は脳血管関門を容易に通過します。その理由はヒトにとっての必須アミノ酸であるメチオニンと構造が類似しているからと考えられています。