研究成果
臨床・福祉・社会グループ(業務)
水俣病病理標本及び関連資料を用いた情報提供(CT-25-03)
Information provision using Minamata disease pathological specimens and related materials
主任担当者
- 丸本倍美(基礎研究部)
- 業務全般の実施
共同担当者
- 藤村成剛(基礎研究部)
- 中村政明(臨床部)
- 菰原義弘(熊本大学)
- 業務を進める上での助言
- 植木信子(株式会社 神経病理Kiasma&Consulting)
- 八木朋子(株式会社 神経病理Kiasma&Consulting)
- 国水研専用WEBページの作成
- 新井信隆(株式会社 神経病理Kiasma&Consulting)
- 業務全般に関する助言
病理標本コンサルテーション
区分
業務
重点項目
メチル水銀曝露の健康影響評価と治療への展開
グループ
臨床・福祉・社会
業務期間
2025年度-2027年度(3ヶ年)
キーワード
水俣病(Minamata disease)、神経病理(Neuropathology)、病理組織標本(Histopathological slides)、デジタル化(Digitation)、情報発信(Information transmission)
業務課題の概要
水俣病の剖検例の病理組織標本は、他の疾患等と異なり人類が二度と得ることが出来ない極めて貴重なものであり、世界中で水俣病の病理組織標本を多数保有している研究機関は当センターのみである。しかしながら、病理組織標本は年月の経過とともに褪色が起こるため永久に保管することが困難である。よって、これらをデジタル化し永久保存を目指す。合わせて、デジタル化した病理組織標本を、病理を学ぶ学生及び研究者のための教育用症例として活用することを目指す。
また、当センターでは、病理組織標本の他にも貴重な病理に関する試料を多数保有しており、それらの整理・永久保存及び活用を目指す。
背景
1996年に水俣病に関する貴重な試料を保管する目的でリサーチリソースバンク棟が建設され、国立水俣病総合研究センターでは現在まで同施設において、様々な貴重な標本を収集、保管している。保管している標本は主として熊本大学医学薬学研究科より当センターに貸与されている試料であるが、それ以外にも多数の貴重な標本を保管している。水俣病に関する病理標本及び資料を整理・保管することは当センターの責務の一つである。また、当センターは、単一疾患の病理標本が多数保存されている世界的にも例を見ない施設である。
目的
当センターにおいて適切に標本を整理・保存し、標本を有効活用することが本業務の主な目的である。
パラフィンブロックを再包埋・ラベリングすることにより、将来、研究に再利用できる試料として整理・保管する。また、病理組織標本は年月が経過すると褪色が起こるため、永久に保存することが困難である。よって、これらの病理組織標本をデジタル化することにより永久保存し、後世に残す資料とする。また、デジタル化した標本を世界中の研究者及び学生が教育資料として利用できるようにする。
期待される成果
貴重な水俣病に関する標本を整理・永久保管することにより、国研としての役割を果たすことができる。 パラフィンブロックの将来の研究への活用が可能となる。また、デジタルデータを用いた教育への活用及び国際貢献が可能となる。
年次計画概要
1.2025年度
- 病理組織標本のデジタル化。
- 今後の試料管理に関する熊本大学との協議。
- デジタル化した標本のホームページでの公開。
- リサーチリソースバンクに保管されている試料の整理・管理。
- データベース作成。
- 末梢神経の検索。
2.2026年度
- 病理組織標本のデジタル化。
- 熊本大学からパラフィンブロックの移管。
- リサーチリソースバンクに保管されている試料の整理・管理。
- データベース作成。
- 視床の検索。
3.2027年度
- 病理組織標本のデジタル化。
- 熊本大学からパラフィンブロックの移管。
- リサーチリソースバンクに保管されている試料の整理・管理。
- データベース作成。
- 中心前回の検索。
- 後継者への引継ぎ。
予算及び実額
2025年度の業務実施成果
数値はこれまでの累計を示す。
- 熊本大学と共同で管理する病理標本の整理(450/450)の完了及び継続的な管理
- 新潟大学より提供されている病理標本の管理(30/30)
- 水俣病症例(熊本大学関連)の病理組織標本のデジタル化 (204/204)
- 熊本大学にて剖検された水俣病症例のパラフィンブロックの再包埋作業(126/204)
- 水俣病病理標本データベースHP日本語版・英語版の充実
- 病理標本以外の多くの貴重な資料の整理病理標本の整理・管理
- 日本神経病理学会での発表
- 1956-1959年に解剖された症例の末梢神経系に関する検索を行った(表1、2、3)。
表1 1956年に解剖された症例
表2 1958年に解剖された症例
表3 1959年に解剖された症例
水俣病発生当初の症例において、メチル水銀により末梢神経系が傷害されていた可能性は低いと推測された。
エフォート率
30%
2025年度の自己評価
水俣病発生当初の15例における末梢神経病変について検討ができた。
備考
なし
業務期間の論文発表
なし
業務期間の学会発表
1) 丸本倍美,新井信隆,植木信子,八木朋子,藤村成剛,中村政明,菰原義弘:水俣病を疑う症例のブレインカッティングマニュアル. 日本神経病理学会,和歌山市,2025. 7.