研究成果

外部評価:水俣病病理標本及び関連資料を用いた情報提供(CT-25-03)

丸本倍美1、藤村成剛1、中村政明1
菰原義弘2、植木信子3、八木朋子3、新井信隆3

1) 国立水俣病総合研究センター
2)熊本大学
3)株式会社 神経病理Kiasma&Consulting

保管されている試料・資料

症例数

  • 熊本大学:450例(認定例・非認定例)
    1956年に最初に剖検された症例より現在まで
  • 熊本大学以外の大学・研究機関:30例(認定例)

保管されている主な試料・資料

  • パラフィンブロック(約25,000個)
  • スライドグラス(約100,000枚)
  • 剖検報告書のコピーなど
  • 35㎜スライド(約数千枚)
  • その他多数

yaji

数十万点

国水研が水俣病病理標本を保管する意義

水俣病に関する標本は非常に貴重で今後、人類が手に入れることのないもの

単一疾患の病理標本が多数保存されている施設は世界的にも例を見ない

水俣病に関する病理標本(パラフィンブロック・スライドグラス等)および資料を整理・保管することは国研である国立水俣病総合研究センターの責務の一つ

2025年度からの業務計画

  1. 熊本大学と共同で管理する病理標本の整理・管理
  2. 新潟大学より提供されている病理標本の管理
  3. 水俣病症例(熊本大学関連)の病理組織標本のデジタル化
  4. 熊本大学にて剖検された症例のパラフィンブロックの再包埋
  5. 水俣病病理標本データベースHP日本語版及び英語版の充実
  6. 病理標本の以外の多くの貴重な資料の整理
  7. 水俣病ブレインバンク設立

7.ブレインバンク設立

各症例毎の標本の有無及び病変の有無に関するデータベース作成

スライドグラス
(200枚/症例→1枚毎に臓器・染色法・病変の有無等の詳細を登録)
パラフィンブロック
(50個/症例→臓器・部位等の詳細を登録)
将来の研究への有効活用が可能となる

データベース作成の意義

初期の症例(15例程度)をデータベース化する

標本が作製されていない臓器
→×病変がない
→×病変があったに違いない
→○標本は作製されていない
病変がないことを明示する意義
例:メチル水銀中毒では心臓血管系に病変は惹起されない
→?心疾患の患者群では、血中メチル水銀濃度が高い
新たな研究への協力が容易となる
例:「小脳脚に病変ある?」
→病変がない
→標本は作製されていない

2025年度の解析

2025年度の解析

1956~1959年に剖検された症例:15例
末梢神経系に注目して解析を実施

末梢神経サンプリング及び所見の有無

(1956年に剖検された症例)

(1956年に剖検された症例)

(1958年に剖検された症例)

(1958年に剖検された症例)

(1959年に剖検された症例)

(1959年に剖検された症例)

2025年度の解析結果

2025年度の解析結果

水俣病発生当初の症例において、メチル水銀により末梢神経系が傷害されていた可能性は低い

2026年度の解析計画

2026年度の解析計画

1956~1959年に剖検された症例:15例
視床に注目して解析を実施

5年間の計画

5年間の計画


謝辞

本業務を発表するにあたり、熊本大学・技術部・中川雄伸氏、国立水俣病総合研究センター・基礎研究部・千々岩美和氏に謝意を表します。